ALONES
残された僕とキーラとシスターは、暫く無言のまま…彼が出て行った扉を見つめていた。
恐らく全員が全員、どうすればいいのだろうと悩んでいるに違いない。
特にシスターは負い目があるせいか、中々自分から切り出せないでいる。
「あの、あまり気にしないで下さいね…。」
「…あ、はい、すみません。」
話しかけたら余計にぎくしゃくしてしまったようだ。
どんよりとした空気を放ちながら苦笑いする彼女が、あまりにも痛々しい。
「えっと…、パスポート、でしたよね。すぐに発行しますので、近くの椅子に掛けてお待ちください。」
あからさまに距離の空いてしまったこの関係。
僕の顔さえ直視できないのか、彼女は早口でそう告げ、おずおずと奥の方へと立ち去ってしまう。
――散々だ。
扉の前でただため息を吐く。
「散々ね。」
キーラもコクリと首を傾けた。
「もう手足が捥げそうだよ。…座ろう。」
ぶらぶらと肩を揺らしながら、長椅子に腰を掛けようとした、その時だった。
背後にある扉が開いた気がして、振り返ったのがいけなかったのだろう。
急に目の前に飛び込んできた四角い影が、僕の額に見事にぶち当たる。
とてもとても鈍い音を立てながら、僕の首はくんっと押しやられ、後頭部は磁石のように床に引き寄せられて更に鈍い音を発した。
次いで、体がベタッと地に倒れる。