ALONES
「あなたは、他の人間とは違うのね。…安心した。」
彼女は言う。
他の人間とは違うと言う意味を、この時の僕は全く理解できなかったが…
彼女はにこりと微笑んで、包帯の巻かれた手首をきゅっと握る。
「私、最後の人魚なの。家族や仲間は皆人間に殺された。もうずっと…独り。人間が憎いけど、一人じゃ恨みも晴らせないし、このまま生きていても仕方ないと思ってたの。」
それから彼女は僕の首にそっと手を伸ばすと、手当の施されていない切り傷に触れ、全てを悟ったように僕を見た。
「あなたがどうして泣いていたのか、私には分からないけれど…なぜかしら、とてもよく似ているような気がするのよ、私たち。」
ドキッと心臓が高鳴って、僕は彼女を見つめ返した。
ずっと独り。
生きていても仕方がない。
初めて共感と言う言葉の意味が分かったような気がして、息を呑む。
「私の名前はキーラよ。あなたは?」
「…僕はアルヴァスティン。アルヴァスティン・フォン・オルフィリア。この孤島で、独りで暮らしてる。」
人魚キーラは僕の名を聞き、少々驚いた顔をしたが、
「あなたもワケアリみたいね。」
大丈夫よ、誰にも話さないし、話す相手もいないから、と笑った。