ALONES

それどころかまた顔が赤くなっている事にゲラゲラ笑って、自分の反応を楽しんでいる。


「レイチェルさんて、昔からそうだけど…騎士としてはメチャクチャ強いのに、そういう事になると物凄く弱いっスよね。」


自らも湯をごくりと飲みながらキールは暖炉に手を伸ばし、レイチェルを見た。


なんだか同じような事を誰かにも言われたなと考えている内に、ふと昨日の事を思い出し、また顔が熱くなる。


というのも。

昨日のいざこざの後、礼拝堂であろう事か自分自身もいつの間にか眠ってしまっていたのだ。

勿論、あの男の腕の中で、あの、団長の腕の中で、だ。


起きた時にそれはそれはびっくりして彼の顎に頭をぶつけた挙句、盛大に起こしてしまうと言う大惨事に至ってしまった。

その後は何事もなく部屋に帰った訳だが…もう、その時の羞恥心と言ったら死んだ方がマシだと思えるくらいで。


今朝なんて目も合わせられなかった。


だが幸いなことに、王宮に配属されているキールはその事を知らないし、最後に会ったのは半年前位だ。

きっと彼が城にいたら、すぐに異変を察知してまた自分をからかってくるだろうなという予想を瞬時に切り上げ、
その点に関しては運が良かったと胸を撫で下ろす。

ほんの小さな安心を味わった後、レイチェルは自らも暖炉に手を伸ばした。


「よく分からないんだ…そういう、結婚とか。色々な人に色々言われるけど、正直今の私には騎士が全てで、剣が恋人みたいなものだから。」



よく、分からない。


それは本当に、本当の事だ。


まぁ、少しの女心はあるのだろうが、着飾るとか、自分からアピールするなんて考えは微塵も湧き起こらないし、興味もない。



「私は…変なのか。」



両腕に顔を埋め、呟く。


するとキールは笑い、「変だね。」と容赦無くレイチェルに言い放った。

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