ALONES
良く理解していたはずのその言葉が、崩れ落ちていくような気がした。
「…建前。」
なのだろうか。
でも、建前じゃない事は分かっている。
それでもこの虚しい関係を心の中で打破したいと思う自分がいるのは確かだ。
「レイチェル、お前にも聞かせたい話がある。」
思いがけず、名を呼ばれた。
王のその瞳に吸い寄せられるかのように、頷き…立ち上がる。
王は楽しそうだった。
キールも同じように。
越えられぬ壁、超えてはならぬ一線。
そんなものを信じているから、私は臆病なのだろうか。
父は自分に言い聞かせるように、言っていた。
何度も何度も、言っていた。
自らが命を落とす遠征の直前まで。
だから思う。
父も臆病だったのではないかと。
王と親しくなっていく自分自身が怖くなったのではないかと。
それでも、王の事だからきっと…そんな関係を望んではいなかったのだろう。