ALONES
しかしため息一つ。
「…って、中立のお前にこんな事を言っても、仕方ないよな。」
自嘲めいたように笑えば、いつも通りの瞳がヨアを見上げた。
…隙のない人だ。
ヨアは何も言わず、ただ静かに目を伏せ思う。
正直、ランベールの気持ちが分からないでもない。
普通であれば、圧倒的に支持を得るのは彼の意見だ。
しかし、ヨアはいつだったか、アストリッドがポツリと零した言葉が気になっていた。
“誰にも分からないわよ、殿下の気持ちなんて。”
その言葉の意味が未だに分からないが…死にそうなくらいに歪む彼女の表情をヨアは忘れる事が出来ずにいる。
国を壊してまでも、成し遂げたい事があるのだろうか。
ひとりそんな事を思い返しながら、ヨアは顔を上げた。
「あまり、出過ぎたことは…しないでください。」
厳しさ、優しさ。
答えの無い助言しか、言えない立場。
しかし―…。
「貴方には生きて欲しい。…そう、思うから。」