ALONES
オルフィリア王国領、孤島シトルイユ。
その小さな島の一角に建てられた小さな邸宅で、僕はいつも通りの朝を迎えた。
ハンターケースに閉じ込められた、懐中時計を目の前に持ってくると、乱暴に蓋をこじ開け…針の指す数字ををぎょろりと睨む。
――7時30分。
小さな唸り声を上げながら数度寝返りを繰り返した後、僕はゆっくりと体を起こした。
ポキポキと骨が鳴り、立つのも億劫だったがこればかりは仕方がない。
ため息を吐きながらいつも通りに窓を開け放ち、ベットを整え、水で薄めた白ワインで口をゆすぐ。
それから適当に引っ掴んだ小さな鍋に甕から雨水をくみ取って、火が揺らめき続けている暖炉で湯を沸かした。
ふあ。
嫌なほど欠伸が出る。
眼下でぐらぐらと煮立つ水を眺めていると、どうにもこうにも、憂鬱な気分になるし、
毎朝同じこの光景を、毎朝僕だけが見て、僕だけがこんな想いをする。
こうしてお気に入りの茶葉をテーカップに入れる事も、お湯を注ぐことも、日課の紅茶を飲むことも。
つまらない、ただの戯れ事。