ALONES
けれど、キーラは分かったようだ。
僕が言おうとした事、そして自分自身にも関わる事。
お互いの地獄の中でやっと巡り会えた存在を、再び手放したくはない。
「…アルって、本当にいい人ね。」
キーラは優しく微笑んだ。
「私も、あなたが死ぬのは勿体ないと思うわ。あなたは私と違って祖国があり、家族がいるでしょう。どんな形で離れても、その縁は切れぬものよ。それに、あなたが死んだら、私は、」
—僕は、
「また孤独になってしまう。」
ふわりと、風が舞った。
切なさと、痛みと、苦しみを巻き込んで、僕たちは手を取り合った。
ぎゅっと力を込めて手を握り締め、お互いの瞳を見る。
長い長い沈黙だった。
けれど、もうそれだけで十分だった。
キーラは僕に、
「また、明日。」
と微笑みかけ、手を離し…星が舞う海へと戻っていく。