ALONES
特別な存在
太陽の光が強くなったような気がして、ゆっくりと体を起こす。
うんと伸びをして、何気なく首の傷口を触って見ると、
―あれ。
首の傷はもう痛まず、手で触っても違和感がないくらいに殆ど治っていた。
凄いなこれ。
昨日キーラが塗ってくれた傷薬のおかげだろう。
本当に不思議な存在だと、僕はキーラの姿を思い浮かべる。
だが、そんな彼女はまだ来ていない。
それもそうか、と、時計を見る。
時刻は午前6時。さすがに早い。
ゆっくりとベッドから起き上がると、布団を整えて、窓を開ける。
心地よい風が部屋を駆け巡る中、ちょっぴり苦い白ワインで口をゆすぎながら、薪を暖炉に放り投げて。
結局、毎日の日課の紅茶を作る。
それからオンボロ椅子に座り、紅茶を一口飲めば小さく漏れるため息。