ALONES
* * *
そして…
ようやく着いた時、僕は歩き疲れて、目の前の柵にしがみついた。
「…階段あるなら先に言って欲しかったんだけど…。」
明日は絶対筋肉痛だとため息をつきながら、キーラを見る。
けれど、彼女は遠くを見つめるばかりで、見向きもしない。
何がそんなに、と、目線を変えた時、僕の瞳は“それ”をとらえた。
「—―——。」
―“それ”は、大きな大陸だった。
広大な海の向こう、5年間見る事のなかった大陸。
「あそこが…オルフィリア王国よ。」
キーラは凛と呟いて僕を見る。
家から殆ど出なかった僕は、この孤島に灯台がある事も知らなかった。
…そして、ここから故郷が見える事も。
「これでも私、国には詳しいの。」
海風が静かに流れ…キーラは遠くを見つめたまま、儚げに口を開いた。
「ねぇ、どうして人魚がいなくなったのか、知ってる?」
突然の質問だった。
「………え?」
その問いにどう答えていいのか分からず目を泳がせていると、キーラが口を開く。
「それはね。
人間が『人魚を喰えば、不老不死になれる。』という“人魚伝説”を信じて人魚を食べたり、
物珍しさに狩り、剥製にしたりして高値で売ったからよ。」