ALONES


いたのは兄弟と、数人の仲間だけ。


私は一番末っ子だったから、皆に守られて生きてきた。

そのせいかしら。


私は皆の命と引き換えに、生き残ってしまったの。



隠れていた岩陰から出た時、もう、誰もいなかった。

どんなに泣いても、どんなに叫んでも、海は涙さえも隠し、声も奪い取っていった。


そして広い海の中、私は独りになった。



—人間が憎い。

何もかもを奪った人間が恨めしい。


計り知れない憎悪と葛藤を繰り返しながら、私は何年も海を漂った。


人間たちに復讐してやろうと、何度か歌でおびき寄せ、船を座礁させたり…

船底に穴を開けて、難破させたりもしたわ。


その瞬間は心が少し楽になったけれど、

私のしている事は、ただの気晴らしでしかなかった。


どんなに待っても、どんなに人間に復讐しても、皆は帰ってこない。

どの海を泳いでも、もう仲間は一人もいない。


私を守ってくれる人も、守る術も無い。






皆を失ったあの日から、私は独りだった。

そして、いつまでも孤独に耐えられるほど、強くは無かった。


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