ALONES
そういう対象
パタパタ…と音を立て、ベッド横にある窓に雨が足音を残して行く。
窓に付いた雨が幾度となく滴っていくのをしばらく眺め、私はベッドで眠るアルを見た。
キャラメル色のさらさらな髪に、精悍な顔立ち。
―アルはいつも私を綺麗だと言うけれど、あなただって十分可愛い顔をしているのに。
でも、そんな事を言ったらきっと怒られるだろうなぁと思いながら、
私は優しくその髪を撫でた。
ふたりで灯台に上った日から、2日後の夜。
突然やってきた高熱と体中の痛みに、アルが倒れたのは…ちょうど今日の昼過ぎの事。
朝から少し顔色が悪かったように見えたけど、彼の事だから…
辛いのを我慢して、私に付き合ってくれていたのだろう。
小さな森の中で—
『アル、見て!こんなにたくさんの花が咲いていたわ!』
花を摘んで帰ってきた私を見る事無く、
『—…アル?』
彼は小さくうずくまり体を両手で抱え、ギュッと目を閉じ—
『、アル…!』