ALONES
怖かった。
アルが死んでしまうのではないかと、
怖くて怖くて、涙も出なかった。
熱と痛みにもがく彼の表情を見ているだけで、頭がおかしくなってしまいそうで、
私は自分が何をしているかも分からないまま、ただ衝動的に指を切って自分の血を、感情的に彼の口に滑り込ませると、
震える両手で細いアルの手を握って、看病を続けた。
私の血の効果か…熱はすぐ下がったけれど、何故だか体の痛みは治まらなくて。
途中、アルが目を開き、
「…ごめん、よくあるんだ、」
と乾いた唇で呟くから、
私はもっと強く手を握り、「なんで謝るのよ、」だなんて、可愛くない返事をして。
もっと他にも、「気にしないで。」とか「早く良くなるわ。」とか…そういう励ましの言葉もあったのに———…。
「……馬鹿ね私。」
乾いた布を濡らし、取り替えながら、小さく息をついた。