ALONES
僕の足は上手く動かない。
けれど今日は羽が生えたように軽やかに歩けた。
腕も、手も、指も、すべてがしなやかに動いた。
何故だろう。
何故なんだろう。
嗚呼、そうか。
今日は僕が決めた、僕の—…。
—やがて目の前に海が広がった頃。
僕の心はいい位に荒みきっていた。
まるでこの荒れ狂った岸壁のように、闇に至る岩礁のように。
濁った瞳が映す、この海のように。
もう思い残すことは無いだろう。
十分に、僕は生きたはずだ。
この数年間、いや、5年間僕は。
たった独りで、よく耐えられたと…自分でも感動するくらいに、
生きたはずだ。