ALONES
* * *
そして——雨の音が聞こえなくなった頃。
僕は、ふ、と何かが頬に触れた気がして、目を開けた。
けれど視界に入ったのは、いつもと変わらぬ我が家の天井で。
気のせいか、と息を吐いて体を動かした時、
突然、記憶と違う違和感が僕を襲う。
——あれ。
なんでベッドで寝てるんだ?
慌てて窓を見上げると、真っ暗な夜空が広がっている。
確か、昼過ぎにキーラと森に花を摘みに行ったはずだ。
それから彼女が戻ってきて、花を———花を、
―—―花?
ズキン、と頭痛が走って小さく唸り声をあげた。
すると突然…誰かが耳元で小さく僕の名を呼んで。
「―…アル……。」
息を飲み、その方向に顔を向けると、
「…ふふ…、見て…美味しそうなさかなさん…、」