ALONES
「―――、」
ベッドに頭を預けて眠る、彼女の姿が視界に飛び込んできた。
むにゃむにゃと寝言を呟き、眠る彼女を見た途端…何故自分がここにいるのかを思い出し、
次いで、額の上に置かれた濡れた布や、机の上に薬が沢山散らばっている事に気づく。
…ずっと、看病してくれていたのか。
体の痛みはまだ少し残っているが、恐らく彼女が僕に薬を与えてくれたのだろう。
熱は下がり…あの尋常じゃない程のだるさも消えていた。
でも。
すぐに申し訳ない気分と、情けなさが自分を襲い、ため息が漏れた。
折角出かけたというのに、彼女にはいつも迷惑をかけてばかりだ。
ああもう、と額に手を乗せるけれど、
正直な所。
彼女がここにいてくれた事がとても心強くて…嬉しくて。
こんな時にこんな事を思ってしまうなんて、どれだけ不謹慎なのだろう。
そう自分を責めながらも、僕はそっと手を伸ばし彼女の頬を撫でる。
「…キーラ。」
本当に綺麗な寝顔だった。
端正だが、あどけなさが残るその顔立ちに、優しく映える桃色の頬と唇。
長いまつ毛に彩られた瞳は、海のように色々な姿を見せてくれる。
僕にとって、彼女は特別だった。
―いや、特別になってしまったのか。
その声に、その表情に、その性格に、その心に、
何度もかき乱されて、踊らされて、いつしか僕は…惹かれてしまった。