ALONES
アルの家から少し歩いた所に見える小さな森。
昨日、私が花を摘んでいた所。
ちょっぴり苦い思い出はあるけれど、花は朝露に濡れ、とても綺麗に咲き誇っている。
家の中を花だらけにしちゃおうかしら。
でも、アルの髪の毛に沢山花飾りをつける方が面白いかも。
「このお花、いい匂い。」
そうやってひとり花の匂いを嗅いで楽しんでいると、急に木々が無くなって…
はっと顔を上げれば、途端に海が広がった。
「――――。」
ザァッと髪を揺らす、潮風。
眼下に見える砂浜に、絶えず波が押し寄せては…引いてゆく。
海の音。海の匂い。
遠い昔の懐かしさがふいに甦って、少しだけ寂しさを思い起こした。
――兄さん、姉さん、リリ、ローイ…ナーチェ…。
大好きな皆。
今でも会いたい、物凄く会いたい。
でも…それは叶わない。
哀しみが押し寄せて、引いて…
今と言う幸せが引いて…押し寄せて。