ALONES

けれど。


「あの女、どれだけ足早いのよ…!」


家の近くにきた時には、女は既に家の扉をノックしているところで。

私は近くの茂みから出る事が出来ずに、地団太を踏みながら顔を覗かせた。



すると、ドアが内側から開いた。

キャラメル色の髪がドアの陰からチラリと見えて、扉を開けたのがアルだということが分かる。


暫く彼らは扉の前で立ち話をしていたが…


「!」


次の瞬間。

あろう事か、台車を引いた女はそのまま家の中へと入っていくではないか。


え、ちょっと、どういう事!?


慌てて家に駆け寄って、泥棒のように窓の下で聞き耳を立てる。


アルってば、その女は敵なのよ!


だなんて勝手に思いながら、突入の機会を伺うけれど…。



『久しぶりに会えて嬉しいよ。』


『私もです。』


ヒサシブリニアエテウレシイヨ。


ワタシモデス。



ウレシイヨ?


ワタシモデス?




「―――は?」
< 49 / 185 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop