ALONES
けれど。
「あの女、どれだけ足早いのよ…!」
家の近くにきた時には、女は既に家の扉をノックしているところで。
私は近くの茂みから出る事が出来ずに、地団太を踏みながら顔を覗かせた。
すると、ドアが内側から開いた。
キャラメル色の髪がドアの陰からチラリと見えて、扉を開けたのがアルだということが分かる。
暫く彼らは扉の前で立ち話をしていたが…
「!」
次の瞬間。
あろう事か、台車を引いた女はそのまま家の中へと入っていくではないか。
え、ちょっと、どういう事!?
慌てて家に駆け寄って、泥棒のように窓の下で聞き耳を立てる。
アルってば、その女は敵なのよ!
だなんて勝手に思いながら、突入の機会を伺うけれど…。
『久しぶりに会えて嬉しいよ。』
『私もです。』
ヒサシブリニアエテウレシイヨ。
ワタシモデス。
ウレシイヨ?
ワタシモデス?
「―――は?」