ALONES


「ただいま!」


扉を開くなり、女は私を見て…目を丸くした。

切りそろえられた前髪と、後ろで一つに結われた長い赤髪がふわっと揺れ、金色の瞳がおろおろと動く。


そんな女の目の前を通り過ぎ、机の上に木の実をぶちまけ、


「ちょっとアル、どういうこと。」


と、椅子に座る彼に向けてそう言えば、女もアルを見て、


「この方は…。」


と私を再び見つめる。


その姿になんともイライラして、寝癖のついたアルにイライラして、いてもたってもいられなくなった私は女の方をキッと睨むように振り返り、胸に手を当て叫んだ。




「私は、アルの妻よ!」




刹那、ポカーンとアルは口を開け、女は「え!?」とらしくない格好で声を上げる。

さほど動揺しているのか、アルは私を見たまま動かず、女はずっと「え、え」と声を上げるばかりで。


そんなアルに向かって、「あの女誰よ。」と問うが、

アルが答えるよりも先に女は姿勢を正し、左手を右胸に当てると…少し上ずっていたものの、キレのいい声音でこう告げた。



「わ、私(わたくし)はオルフィリア王国、王族専属騎士、レイチェル・ラ・ヴァルニエと申します!かつてからアルヴァスティン様の専属騎士を務めさせて頂き、ただ今は国王陛下の第二専属騎士として、未熟ながら、陛下の下でお仕え致しております!」


ギュッと目を閉じて、姿勢良く佇む、女…レイチェル。

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