ALONES
でも、ここで彼女に弱音を吐いいても、どうにもならない。
それどころか余計に彼女を混乱させてしまうかもしれない。
それに…今はキーラがいるから、本当に大丈夫。
――とは、言えないけど。
嘘ばっかりの返事を聞いて、「よかった。」とレイチェルは安心したように笑みを零し、ティーカップを口に運んだ。
ちょっとの罪悪感。
でも、これでいいんだ。
それから暫く無言が続き、何か話題は無いかと模索する。
折角レイチェルに会えたのだ。
こんな重い話をするより、もっと楽しい事を話したい。
例えば…。
「…結婚とかは考えてないの?」
「ぶっ、」
突然の話題に驚いたのか、思い当たる節があるのか、レイチェルは口に含んでいた紅茶を噴き出すと、顔を真っ赤にして目を見開く。
「な、なななんですか急に!」
「だってもういい歳だろ?」
「そ、そうですけど、」
「君みたいな美人、他の男が放っておかないよ。」
「バカですか殿下は!」
私が結婚するわけないじゃないですか、私は国王陛下に仕える身ですよ、私情で職務に支障をきたすわけにはいかないですし、こんな赤毛でそばかすのだらけの女なんて相手にしませんよ、もっとこう、スリムで金髪の、あんな感じの女性がモテるというかなんというか。