ALONES
――本当に、戦争になってしまうのでしょうか。
レイチェルは、肩を震わせた。
だが、もしそうだとしてもすぐに戦争が始まるというわけでもないだろうし、父が健在ならば…きっと弟を止めにかかるはずだ。
けれど今のレイチェルの話を聞いている限り、弟は何をしでかすか分からない。
「とりあえず、様子を見るしかなさそうだな…。」
詳しい経緯まではよく分からないが、どちらにせよ下手に騒ぎ立てると余計に事態を悪化させてしまう可能性がある。
何事にも慎重に、私情は挟まない。
あくまで客観的に、冷静に捉える事だ。
―その事を…エルヴィスは理解していないのだろうか。
「…国の内情は…良く分かった。」
僕は、静かにレイチェルを見つめた。
しかし、それを知った所で僕にはどうしようもなくて。
「でも…僕には成す術がない。この孤島は…僕の檻であり、棺桶だ。僕はここで余生を過ごす。この病と共に、歴史から葬られる。」
「力になれなくて、ごめん。」
レイチェルは分かっていたのだろう。
そう言われるのを知っていて、僕に話した。
だからこんなにも悔しそうな顔をして、唇を噛み、涙を溜めいている。