ALONES
聞き、知り、見て、話せ。
彼女はそう言わんばかりに、沢山の国報紙を置いて行き、
2週間分の食料と共に、貨幣に換金できるような宝石や貴金属をずっしりと僕に渡した。
そして、これは帰ってきたキーラから聞いた事だが…
レイチェルはどうやら小船を一隻置いて行ってようだ。
———なんだってもう。
僕は自分自身が情けないやら、悲しいやらで…暫く家の前で立ち尽くした。
あのレイチェルに諭されるなんて。
複雑な心境のまま…帰路に着く彼女を見送る。
帰り際、レイチェルはキーラの事を思い出し、
「あの方は一体?」
と訊ねてきた。
だから、嘘をつかず、
「島に流れ着いた人魚だよ。」
正直に言ったら、馬鹿にして、と怒られてしまって。
けれど彼女は言った。
「でも、誰であれ…本当に良かったです。」
「—え?」
「殿下が一人きりでないと、分かりましたから。」