ALONES

「アルが私の事をそんな風に見てなくても…私…もうあなたしか見えないの、あなたとしか生きれない…!」


すれ違い。

まさにその言葉がぴったりだろう。


彼女は僕が好きで、僕は彼女が好きだ。

でも、お互いにお互いを好きだとは思ってもいなかった。

そして、恋に臆病だった。




勘違いしたまま、キーラは言う。




「人間のあなたには沢山の仲間がいるわ。でも私には…もう誰もいないのよ。帰る場所も無い。あなたに捨てられたら私、また独りになってしまうわ。だからお願い…」




「独りにしないで。」




ヒトリニシナイデ。




その言葉を聞いた途端、沢山の想いが脳裏を駆け巡り、
彼女との淡く恋しい記憶や、それ以前の痛みを伴う記憶が…僕を飲み込んだ。


—涙が溢れてきた。


塞き止めていた感情が、波のように押し寄せる。




「嫌われたと、思ったんだ。」


隠しきれない程に、塩辛い味が僕の味覚を刺激して、


「僕が、君の嫌う人間と同じ、欲深い人間だって。僕の言葉が、君を傷つけてしまったんじゃないかって。」


その塩味が、心の傷をえぐる。


「それに…僕といるだけで、君には嫌と言うほど迷惑をかけてしまうだろう。僕の上手く動かない躰が君の自由を縛る。嫌でも、君に依存した生活になってしまう。そう考えるだけで、僕は、僕自身が許せなくなってくるんだ。」

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