ALONES


なんとも言えぬ、王の表情。

そんな表情で言われたら、ただ頷く事しかできない。


とはいえ、はなから断る理由も無かった。



殿下にまた会える。

結論的にそれは何よりの喜びであり、幸せなのだから。




『―仰せのままに、陛下。』



レイチェルは国王からイゼリオ公国の医師団が開発した新薬なるものを受け取り、城内の誰にも気づかれぬよう、城を出た。







――そして、今に至る訳だが。


階段を上りきり、鉄の扉を静かに閉めれば、ふぅと零れるため息。



結局…今の国内状況しか話せなかった。

島を出ることについても、仄めかしたままだ。


それよりももっと話さなくてはいけない事があったのに…。




なんて使えない奴なんだと頭を抱えながら、ランプの火を消す。

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