ALONES
「別に団長じゃなくても…。」
しかし、その声は届いていない。
「なんだって?」
ランベールは階段を登りながら、振り返る。
「何でもありません。」
いや、むしろ届いた方が好都合だったかと思いながらも彼の後に続くレイチェル。
思えば、いつも自分は彼の背中を見て歩いている。
父がいた時も、父がいなくなってからも。
なんだかなと思った。不思議な感覚だった。
嫌いなんだけれど。
いつも傍に居るのはこの人だ。
なんだかな。
そんなレイチェルの心内などつゆ知らず、ランベールは彼女に声を投げかける。
「アルヴァスティン様は、元気だったか。」
元気、かどうかは分からないが、そう言っても間違いではないだろう。
「はい。」
レイチェルは答えた。
「やはり団長よりも素敵な男性でした。」