一粒のkiss
「オレが送ります。帰りましょう」
意外に力強く、
爽くんは私を片腕で抱きかかえる様に支え、歩き出した。
「え、え?どうしたの?爽くん⁉
大丈夫、私は大丈夫だから…」
「そう言って、一人で泣くんですか?
さっきみたいに」
「ーーっ」
「すみません。でも、そんな表情の茜先輩を一人にできません」
「な、んで…」
「オレ茜先輩が好きです」
そう言って、
爽くんは唇で私の頬の涙を、
優しくすくい上げる。
その横顔は、
ただの男子じゃなく、
オトコの表情だった。