秘密
同僚の幽霊話なんて信じていなかった。けれど、この目で見てしまえば。

「幽霊?」

「飲み込みが早いね。助かるよ」

青年は幽霊であるにも関わらず、快活に言った。

「頼みがあるんだ」

「頼み?」

「成仏するために協力してほしいんだよ。話を聞いてほしいんだ」

話?と首を傾げたとき、彼は言った。

「僕は君が好きだった。ずっとこの図書館に通っていて。懸命に働く君の姿を見て惹かれた」

突然の告白に吃驚した。言われてみれば、見覚えがあるような。
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