図書館スイーツ【TABOO 】
「これ、違いますか?」

真横からの声に勢いよく振り向くと、信じられない光景がそこにあった。

触りたくなる柔らかなくせ毛、穏やかな微笑み、優しい眼差し。

彼だ。



「え!……えっ?」

私が動揺すると、彼は申し訳なさそうな顔をした。

「驚かせてすいません。でもコレ、貴女のかなと思って」

言われて彼の手元を見ると、お気に入りのタオル。

大好きなブランドのハンカチタオルで、最初のデートの時に彼氏に買ってもらったもの。



彼氏からのプレゼントを手にしている気になるあの人。

ああ、なんて罪悪感なんだろう。

「あ、ありがとうございます」

慌てて受け取って胸元で握りしめる。

やっぱりこんな気持ちダメなんだよね。許されるわけがない。

これは、その戒め?



「綺麗な、指輪ですね」

優しい笑みで彼が言った。彼の目線は私の右手薬指のリングに向けられている。

「いいチャンスだと思ったけど。残念だな」

そう言うと、呆気にとられる私を残してあの席へと戻っていった。

私の胸がドキドキと立てる音は罪悪感?それとも―――



 
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