同窓会 【TABOO】
優司がいてくれたから私は救われた。
優司と新しい人生を歩んでいこうとそう決めていた。
この幸せを元彼に見せつけたい。
そんな不純な動機もあって私は今ここに参加している。
「ちょっと酔ったみたい風に当たってくるね」
そんな私は、仲がいい優司と元彼を見ていると罪悪感に襲われる。
外の風は酔って火照る頬に冷たく心地いい。
澄み切った空気に視界に飛び込む幾千の星。
吐く息がかすかに白い。
「明華里。」
私の名前を呼ぶ声に振り返ると同時に腕を勢いよく引っ張られる。
「亮一っ。」
私の腕を力強く握りしめているのは優司ではなく元彼の亮一で・・・
細い通路を曲がると勢いよく壁に押し付け唇を重ねてくる。
乱暴に唇をこじ開け舌を絡ませてくる。
抵抗することすら考えられないほどに・・・
「明華里、結婚するんだってな。お前は俺を忘れられない」
自信に満ちた憎たらしい笑み。
だけどその自信に満ちた亮一を好きだった。
「優司が気になるし、先戻るわ。」
何もかも自分中心で・・・
忘れていた・・・忘れたつもりで封印していた感情を解き放ち、亮一は私を置き去りに優司の待つ居酒屋に戻っていく。
腕と唇に亮一の温もりを残したまま・・・
心に亮一を刻みつけたまま・・・
そんなつもりではなかったのに…