密恋。~リスクのある恋~
………
『…ルリ』
『――…?』
『ルリ。何を考えてる?』
『えっ?』
目をゆっくりと開けると、そこには”マルス“の姿。
…は?マルス…?
『な、なんで!?』
『…?何が』
私の驚いた表情に、目をぱちくりとさせるマルス。
…私、頭おかしくなっちゃった!?
マルスの幻覚を見るなんて―――。
ふと目線を落とすけど私はちゃんと高校の制服を着てるし、目に写る光景は今までいた図書館だ。
頬を撫でる外からの風も、リアルに感じる。
この場所に異質なのは、マルスただ一人。
――ぱら。
外からの風で、読んでいた本のページが捲れる。
…そのページが真っ白だったことなんて、私は知るよしもない。
『ルリ。何を考えているのか知らないが…これからは俺とともに来い。そして、俺のことだけを考えろ』
『え?』
――白紙だったページに文字が刻まれていく。
『――俺から一生離れるな』
『っ!?』
手を引かれ、マルスの筋肉質な腕が私の身体を包んだ。
彼氏とは違う力強さに、心臓が高鳴る。
身体が熱くなるのを感じながらマルスの姿を見つめていると、マルスが口をゆっくりと開いた。