密恋。~リスクのある恋~
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何読もうかな…。
変装しているからか何となく好奇心が働いて、私は普段なら行かないような奥まった本棚の方に入っていく。
は~…難しそうな本ばっかりだ…。
一生読むことなんてなさそう。
私は本棚に詰まる分厚い本の背表紙に夢中で、前を見ていなかった。
ある角に差し掛かった時、身体に衝撃が走った。
――どんっ!
「きゃ…!」
「あ、悪…っ」
「ん…っ!?」
何事かと顔を上げた瞬間感じたのは、唇に柔らかい感触。
目に写るのは男の人。
「…!」
唇が触れあっていることに気付き、お互いに慌てて後ずさりをした。
私はつい声を大きめに出して謝ってしまう。
「ご、ごめ…むっ!」
「…しっ。…ここ、図書館だから。しー、ね」
男の人が私の唇に人差し指を添えて、それ以上声を発さないようにする。
にっこりと笑う男の人はラフなシャツにジーンズという格好をしていて、大学生だろうと思った。