密恋。~リスクのある恋~
 

チーン!


「!」


どこかの階に着いた音で、一瞬にして離れる私と彼氏の距離。

そして開いたエレベーターから入ってきたのは、部署の違う同期の男だった。


「…お疲れさまです」


同期とは言ってもほとんど話したことはなくて、嫌われてるのかも、って思うけど、合う合わないがあるのは当然だし、あまり気にしないことにしてる。

エレベーターのドアが閉まり、上昇し始める。

何か気まずい。

…って思ってるのは、きっと私だけか。

チーン!


「!」


あ、彼氏の降りる階に着いたんだ…。

私は開くボタンを押し、チラッと斜め上を見る。

…彼と目が合った。


「っ!」


その目は、上司の目なんかじゃなく、私を誘うような魅惑的なものだった。

ドキドキする私を余所に、何事もなかったように下りていく彼のことを、やっぱりズルいと思った。

 
< 40 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop