密恋。~リスクのある恋~
 



ヒロと別れた後、私は一人、ダンスレッスン室に向かう。

今日は私が担当している部分で振り付けの相談があるからと、一人残されてしまったのだ。


今日はヒロの誕生日だから、二人でお祝いしようって言ってたのにな…。

それを楽しみに気が乗らない仕事も頑張ったのに…。

よし。さくっと終わらせて、ヒロのところに向かおう。


――タンッ!


「!」


レッスン室から聞こえてきた音。

私はドアについている窓から中を覗いた。

そこには鏡に向かってダンスをする、CLOKの中の一人、SAKUの姿。

同じ部分を何度も何度も繰り返す。

細かい動きが多い、SAKUのソロダンスだ。

真面目に練習してるんだ…。意外だな。


――タタンッ、タッ、タ


「――っ、くそ」


悔しそうに顔を歪めるSAKU。


ここ難しいんだよね。

…あ、もしかして、この部分をもっと簡単にしてほしいっていう相談?


…だよね。

失敗するより、少しレベル落として上手く見せた方がいいもんね。

まぁでも、練習はする真面目なところは少しは見直したかな。


ふとSAKUの視線が私を向いた。


「!」


突然目が合ってしまったことに、心臓がドキンと跳ねた。

ちょいちょいとSAKUが指を動かし、部屋に入ってこい、という仕種をした。

 
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