密恋。~リスクのある恋~
*
ヒロと別れた後、私は一人、ダンスレッスン室に向かう。
今日は私が担当している部分で振り付けの相談があるからと、一人残されてしまったのだ。
今日はヒロの誕生日だから、二人でお祝いしようって言ってたのにな…。
それを楽しみに気が乗らない仕事も頑張ったのに…。
よし。さくっと終わらせて、ヒロのところに向かおう。
――タンッ!
「!」
レッスン室から聞こえてきた音。
私はドアについている窓から中を覗いた。
そこには鏡に向かってダンスをする、CLOKの中の一人、SAKUの姿。
同じ部分を何度も何度も繰り返す。
細かい動きが多い、SAKUのソロダンスだ。
真面目に練習してるんだ…。意外だな。
――タタンッ、タッ、タ
「――っ、くそ」
悔しそうに顔を歪めるSAKU。
ここ難しいんだよね。
…あ、もしかして、この部分をもっと簡単にしてほしいっていう相談?
…だよね。
失敗するより、少しレベル落として上手く見せた方がいいもんね。
まぁでも、練習はする真面目なところは少しは見直したかな。
ふとSAKUの視線が私を向いた。
「!」
突然目が合ってしまったことに、心臓がドキンと跳ねた。
ちょいちょいとSAKUが指を動かし、部屋に入ってこい、という仕種をした。