密恋。~リスクのある恋~
「入ってもらって良かったのに。知らない間に見られてるとか、超恥ずかしい」
タオルで汗を拭きながら、アイドルスマイルを浮かべる。
アイドルって意外と大変?
ダンサーにまで笑顔振り撒かないといけないなんて。
「いや、なんか真剣でしたから。邪魔するのも悪いなと」
「チハルさんの振り付け、超難しいんだもん!何度練習しても踊れなくて」
「この振り付けカッコいいなと思ったんですけど、やっぱり難しいですよね。お客さんにも喜んでもらえると思ってたんですけど…もう1パターンあるので、そっちに変えましょうか?」
「違うのもあるのか…ん~…」
あれ、悩んでるフリまで?
簡単な方にしたからって、投げ捨てたなんて思ったりしないのに。
…いや、心の奥底では思うけど。
「そのパターン、見せてもらえます?見てから決めるから」
「あ、はい」
私はすぅと息を吸い込み、トントンと足でリズムを取って、踊り始めた。
緩いステップから、ターン!
腕をゆっくり回して左右に体を揺らし腕を左右に広げて、足を高く上げてフィニッシュ!
「ステップを少なくしたのと、細かい動きの部分を少し変えてます。基本は今と同じなので十分カッコ良く決まると思いますよ」
だいぶレベルは落としてるけど、それなりには見えるパフォーマンスのはず。
「…そうだな…」
うーん、と言いながらも、体でリズムを刻んで頭の中でイメージしているようだ。
「…うん。確かに、これならいける」
うんうん、と納得したように頷くSAKU。
お、決まったかな。
無難な方に変えるって…