密恋。~リスクのある恋~
 



「お疲れさまでしたー!」


ツアーの打ち上げが盛り上がる。

あれだけ走りまくって踊りまくって疲れてるはずなのに、みんな元気すぎる。

…と思いながらも私もすごく楽しくて、たくさんたくさん笑った。



――みんなが盛り上がる中、私はトイレに立った。

みんなの騒ぎ声はトイレにまで響いていて、つい笑ってしまった。

トイレを済ませてみんながいる部屋に帰る途中、廊下でSAKUに話しかけられた。


「チハルさん」

「え?あ、SAKUさん。最終日お疲れさまでした」

「チハルさんも。ありがとう」

「いえ。3ヶ月ちょっとの間でしたけど、楽しかったです」


最初は、アイドルのダンス指導なんて冗談じゃない、と思っていたけど、ライブ含め楽しい仕事だった。

…最後の最後に焦るようなことはあったけど、目の前にいるSAKUはその事には触れないし、やっぱりあれは事故だったんだ。

忘れてしまおう。


「――あ、あとさ」

「はい?」

「さっきはごめんね?」

「………さっき…?」


って?

 
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