密恋。~リスクのある恋~
*
「…これ、渡したかったんだ」
タケルと二人、温泉で汗を流した後、部屋で目の前に出されたのは指輪。
「まだ具体的な話はゆっくりでいいんだけど…いつも俺の前を走っていくミユを捕まえておきたいから」
「…」
嘘…
昼間の出来事の罪悪感と共に、ふとタケルを好きになった時のことが走馬灯のように蘇った。
……そう。追いかけていたのは、私だった。
ほわっとしてるのに芯の通った性格に惹かれて。
するりと交わされながらも追いかけて、やっと捕まえて。
愛してくれて。
そんな日々を続けるうちに、いつの間にかタケルが私を好きでいてくれることが当たり前だと思ってしまっていた。
私はタケルの前を走っていて、タケルは私を追いかけて来てくれているんだと。
でも…
私は横道に反れてしまった。
平坦な道に退屈して、刺激のある道へと。
最後までしたわけじゃなくても、刺激を求めて犯してしまったタブーは、消せない。
これから私の後ろを追いかけ続けるのは、罪悪感なのかもしれない。
――そして。
真実を知るのはもう少し、後のこと。