密恋。~リスクのある恋~
*
懐かしい…。
結婚式に使う写真を探すために、温泉旅行の写真を見ていた時だった。
「くっ」
急に聞こえてきた笑いに、私は写真からタケルに視線を移す。
そこには、ニヤリと笑う、タケル。
今までほとんど見たことのない表情に、私はびくりと身体を震わせた。
「タケル…?」
「この時さ、マラソンではぐれたよね」
「え…う、うん」
どくりと心臓が低く唸ったのを感じる。
…なんか嫌な予感がするのは、何で?
「…知ってるよ?はぐれた時に、ミユに何があったのか」
「っ!」
うそ…うそ…!
まさか、あのこと、知られてるの…?
タケルの表情と言葉に、どくんどくんと心臓の唸りが早く重くなっていく。
冷や汗が背中を伝って落ちていく。
まるで私の気持ちがドン底に向かってすぅっと堕ちていくように。