密恋。~リスクのある恋~
 



懐かしい…。

結婚式に使う写真を探すために、温泉旅行の写真を見ていた時だった。


「くっ」


急に聞こえてきた笑いに、私は写真からタケルに視線を移す。

そこには、ニヤリと笑う、タケル。

今までほとんど見たことのない表情に、私はびくりと身体を震わせた。


「タケル…?」

「この時さ、マラソンではぐれたよね」

「え…う、うん」


どくりと心臓が低く唸ったのを感じる。

…なんか嫌な予感がするのは、何で?


「…知ってるよ?はぐれた時に、ミユに何があったのか」

「っ!」


うそ…うそ…!

まさか、あのこと、知られてるの…?


タケルの表情と言葉に、どくんどくんと心臓の唸りが早く重くなっていく。

冷や汗が背中を伝って落ちていく。

まるで私の気持ちがドン底に向かってすぅっと堕ちていくように。

 
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