密恋。~リスクのある恋~
*
いい天気。
授業が終わり彼氏と分かれた後、私は一人で何の目的もなく、大学構内をぷらぷらと散歩していた。
すると、ニャーとネコの鳴き声が植え込みの陰から聞こえてきた。
私はそっと、植え込みの向こうを覗く。
ネコ…?
「!」
ネコと目が合う。
そして、ネコを手に抱え、あぐらをかいた男の人の後ろ姿が目に入ってきた。
わ…ネコ王子だ…!
こんなに近くで見るのは初めて。
茶色の少しウェーブがかった髪の毛はすごくキレイで、ふわふわとしている。
触ったら気持ち良さそう。
いつもは遠くからしか見ないからわからなかったけど、意外と身体のラインは細くない。
…あ、そうか、サッカーしてたんだっけ。
…っとと。
観察してる場合じゃなかった。
あまり見てると、ただの変な人になっちゃうし、気付かれないうちにここを離れようっと。
私はそっとその場から去ろうとする。
でも。
「――待ってください。先輩の彼女さん、ですよね?」
「!」
くるりとネコ王子が私に顔を向ける。
「やっぱり」
後ろ向いてたのに、何で気付くの!
――気配?
もし気配を感じたとしたら、本当にネコみたいだ…。
それに…
何で私のことを知ってるの…?