密恋。~リスクのある恋~
「ちょっと話しませんか?この時間に外ふらついてるってことは、先輩も空き時間なんですよね?」
「え?まぁ…」
確かに空いてるけど、話す、って何を…
共通の話題なんて彼氏のことしかないけど…。
ネコ王子の急な提案に私は戸惑ってしまう。
「こっち」
ネコ王子は私の戸惑いには気付いていないようで、ポンと芝生を叩いた。
そこに座れ、ってことか。
拒否するのもあれだし、ちょっとだけ話してみようか。
…ネコ王子に興味はあるし。
私はそう思い、植え込みの隙間を探して芝生に入り、指示された場所に座った。
きょろきょろと周りを見渡すと、そこは人目からは完全な死角だということに気付く。
草木の緑と空の青しか見えず、誰にも邪魔されない場所だ。
…もしかして、ネコ王子の休憩場所なのかな?
ネコ王子に目線を移すと、ネコ王子は手に抱えたネコと睨み合いっ子をしながら、ネコを左右にぶらぶらと動かしていた。
いや、超かわいいんですけど…!
じゃなくて、なにか会話…会話…
「…ネコ、かわいいですね?」
「寝てたら何か寄ってきて。首輪ついてるしキレイだから飼い猫だと思うんですけど」
寄ってきたって。
類は友を呼ぶ?
私は何かおかしくて吹き出しそうになり、口元を手の甲で押さえた。