密恋。~リスクのある恋~
「…わからないから聞いてるのに。だって、騙した上に…こんなことするなんて酷いよ」
私は彼から目線をはずし、俯いた。
でも、すぐに彼の手によって顎を持ち上げられ、触れそうなくらい近距離でまっすぐと見つめられる。
「…本当はおまえのことが、ずっと好きだったからだよ。女友達だなんて、一度も思ったことはない。…あいつのふりをしておまえを騙してでも、おまえに触れたかったんだ」
そう言って、彼は私の身体を再び強く抱き締めた。
*
――女のこと、何もわかってない。
『好きな人』の顔とか表情とか声とか感触とか、間違えるわけないでしょ?
最初から、彼氏なんかじゃなくて、『ずっと好きだったあなた』だって気付いてたの。
その愛の言葉を『あなた』の口から言わせたくて…
『あなた』に触れたくて、気付かないふりをした。
――さぁ、罠にかかったのは
どっち?
Fin.