Black Beast.
♯01.棒つきキャンディー



「 北城さん、放課後ひま? 」


「 ・・・? 」


「 あたし予定あって、委員会出れないんだよね。代わりに出てくれない? 」



HRが終わってまだ数分。
先生が出て行ったのを横目で確認しながら
窓際の私の席の前に立ったクラスメート2人は首を傾げる私に委員会の資料を差し出した。



「 ・・・は? 」



─────────冗談じゃない。
友達でもない人の代理なんて。



資料を受け取らず、私は席を立った。
鞄を手に取って教室を出ようと
ドアの方へ足を進めると
ガタンッと机の倒れる音に教室内が静まり返った。



「 ・・・待ちなよ 」



私の机を蹴り飛ばしたらしい彼女は
さっきの笑顔なんて欠片もないくらい
表情が歪んでいて、クラスメート全員の
視線は彼女と私を行き来していた。



「 マキ、やめなよ~ 」


「 無理!あんなのにナメられてるとか
  ありえないんだけど 」



倒れたままの自分の机とその周りに
散らかった机の中身をぼうっと見ていたら
すぐ目の前で明るい茶色の髪が揺れて
気付いたら私は教室のドアに背中をくっつけて床に座っていた。



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