Black Beast.
「 よォ、チャラ男くん 」
────────────バキッ
顔から血の気が引いていくというのは
こういうことを言うんだとその時
初めてその感覚を知って思った。
殴り飛ばされた彼はガタンッと
大きな物音をたててさっきまで
私が座っていた長いすに背中から突っ込んだ。
それは本当に突然で、意識がないのか
彼の体は力なく床に横たわったまま
ビクともしなかった。
「 佐渡・・!! 」
「 細川も一緒かぁ? 」
目の前で急に映画の撮影でも
始まったんじゃないかと思った。
映画の主人公のようなポジションに居る
私にはまだ気付いていないようで、
一歩ずつ後退りながら後ろで横たわっている
彼の方へゆっくり近づいていく。