Black Beast.
前に来たときは色々あったけど、
普段は中学生も居るようで、
店内に入ってすぐ目に入ったのは
レースゲーム機を囲む中学生の姿だった。
「 ・・・・はぁ 」
「 玲央くん? 」
今日はゲームをしに来たわけじゃない。
璃玖くんが予約してくれたカラオケの
部屋があるのは2階。
受付も2階・・・なのに、玲央くんは
中学生たちの方へ足を向けていた。
溜息を零し、ゆっくり足を進めて行く
玲央くんは私の手を握ったままだ。
「 すっげぇ~!!! 」
「 お前うまいね~! 」
「 お前じゃねーだろ!? 」
・・・・・今の声は。
────────────ガンッ
玲央くんに気付いた中学生たちは
自然と道をあけてくれて、玲央くんは
ゲーム機のイスを軽く蹴った。
「 ・・・・げ 」
「 寄るところ、あったんじゃねぇのか 」
「 よ、寄って来たって! 」
逃げるように立ち上がった彼は
私たちの横を通り過ぎて
小走りで2階へ続く階段を上がっていった。