Black Beast.
♯08.心配性の彼女
「 ・・・おっさん! 」
「 大勇か、久しぶりだな! 」
病院に着いて待合室に行くと、
薄暗い待合室に1人、ダルそうに
イスに深く腰掛けた男の人を見つけた。
その後姿に声をかけた大勇くんは
その人の隣へ移動した。
「 なんだよ、そんな顔して。
お前がやったわけじゃねーんだろ? 」
「 ・・・けど、 」
「 アイツが弱いだけの話だろ。
そこらの不良校と変わらねー格好して
喧嘩して過ごしてんなら、
”そういう覚悟”はできてんだろ 」
”おっさん”と呼ばれている割には
20代にしか見えないその人は
眉を寄せて、今にも頭を下げそうな
大勇くんの肩をバシバシ叩いていた。
「 まぁ、俺も通った道だからな!
その顔でやり返しに行ったら
間違いなく負けるぞ? 」
「 ・・・うん 」
「 ったく・・・。
お前、玲央を見習え!
今にでも殴りこみに行きそうじゃねーか 」
そう言って、玲央くんを指差して
ケラケラと笑う男の人を見下ろして
溜息を吐き出した玲央くんは、
「 行かねーよ 」
それだけ言って、男の人の後ろのイスに
私を座らせて、自分も座った。