Black Beast.
♯09.反撃開始の合図
──────────ドンッ
次の日の朝、いつも通り
学校に行く準備をしていた私の手を
とてもノックとは言えないような
”その音”が止めた。
・・・・開けちゃ、いけないよね?
ドアから離れていたところに居た私は
窓から逃げようか、電話で玲央くんを
呼ぼうかと静かに携帯を手に取った。
「 ・・・・柚菜? 」
ドアの向こうから名前を呼ばれた瞬間、
嫌な予感も、不安も忘れて
携帯を置いた私は玄関へ足を向けた。
家を出るにはまだ少し早い時間で、
それでも身支度をそれなりに
終えていた私は、躊躇なくドアを開けた。
───────────ガタタッ・・
「 んぅっ・・・・!? 」
ドアの前に居た彼の顔を見る前に
ドアノブを握っていた私の手は掴まれ、
大きな手が私の口元を覆い、
部屋の中へと押し込まれた。