Black Beast.
「 あーっ!遅いよ2人共! 」
眠そうに欠伸をしていた希くんの隣で、
器用に髪を編みこんでいた大勇くんが
私と玲央くんを見つけた。
鏡も見ずにやっていたのに
相変わらず綺麗で、いかにも
時間が掛かっていそうなセットだった。
「 おはよ、柚菜ちゃん 」
「 おはよう、希くん 」
「 おはよ~! 」
「 ・・・大勇くんも、おはよう 」
顔、赤くないかな・・・。
そんな心配をしながら
4人で学校に向かって歩き出す。
私と玲央くんが手を繋いでいることには
2人は触れなくて、他愛ない話をしながら
ゆっくり歩いていた。
いつもと変わらない風景に
放課後喧嘩しに行くとは
とても思えなくて、私の中で
喧嘩が日常じゃないからかもしれないけど、
それでも、不思議な気持ちだった。
──────────ヴヴ..ヴヴヴ..
「 うわ~・・・璃玖だ 」
「 出てやれよ 」
突然鳴り出した携帯は大勇くんのものだった。
嫌な予感がしたのは私だけじゃないらしく、
大勇くんも希くんも顔を引きつらせていた。