Black Beast.
「 柚菜、少し下がれ 」
「 ・・・・ッ 」
「 大丈夫だから 」
頬を伝う血を袖で拭いながら、
視線を前へ戻す瞬間、
彼の目つきが明らかに変わった。
「 やっとヤル気になってくれた? 」
そう言って容赦なく鉄パイプを
振り下ろす彼の手を、
玲央くんが掴んだ。
「 い・・・・ッてぇ・・・ 」
目元を両手で覆った直後、
聞こえたのは玲央くんの声じゃなくて。
そっと手を下ろすと、痛そうに顔を歪め、
口元に血を滲ませた”ケイスケ”が
倒れていた。