Black Beast.
♯10.再会と過去
────────────柚菜・・ッ!!!!!
目を閉じる瞬間、遠くで
私を呼ぶ声が聞こえた。
”逃げなきゃ。”
そう思うのに、
身体から力が抜けていくばかりで、
ふわり、ふわりと誰かに運ばれながら
私の頬は涙で濡れていた。
──────────・・・ごめんなさい・・。
声が出なくて、謝ることすらできない。
悔しくて、自分の無力さが憎くて、
下唇を強く噛んだ。