Black Beast.
「 へぇ・・・? 」
笑いを含んだその声と共に
腹部から手が離れていって、
手も離された。
痛む背中は熱くて、
目元も、熱くて。
「 あァ、そうだ。
もしまだ傍にいたいと思うなら
強くならないとね? 」
「 ・・・・? 」
玲央くんじゃないと分かっていても、
まるで玲央くん本人に言われたように
心が抉られていた私は
その言葉に耳を傾けてしまった。
「 ほら、強くなる近道 」
楽しいのか、可笑しいのか。
笑いを押し殺したような声のすぐ後に
ガラッ、とドアが開く音がして、
数人の足音が私の方へ
近づいてくるのが聞こえた。