Black Beast.
「 俺のこと忘れないでくれる? 」
「 忘れてないよぉ、スナオくん♪ 」
「 そ?ならいいんだけど 」
携帯を片手に暇そうにしていた彼が
こっちを見ていた。
どこかの空き教室なのか
廊下側の窓ガラスは全て割られていて、
机は数えるほどしかない。
その中の1つに浅く腰かけた彼は
ニィ、と口角を上げ私を見た。
「 ”口先だけの友達なんていらない。
もう私に近づかないで”ねぇ? 」
「 ・・・・・・ッッ 」
「 まァ、中学生の女の子は大変だもんね?
悪口言われてたの我慢できなかったの?
アンタ、昔と変わってないんだね 」
特徴のある笑い声が教室内に響いて、
私の身体は小刻みに震えていた。
この人は全てを知った上で
この3人と会わせたんだろうか。
それとも、”それだけ”のことしか
知らないんだろうか。
頭を過ぎる過去の出来事に
気付けば唇は切れていて、
口内に血の味が広がっていた。