Black Beast.
♯11.『 逃げない 』
─────────ピリリリ..ピリリリ..
手当たり次第、周りの写真を
かき集めていた私の手が
携帯の着信音でピタリと止まった。
「 ・・・もしもし? 」
窓から下を見下ろしながら
顔を強張らせたスナオは
後ろで楽しそうに笑っている
ケイスケをキッと睨んだ。
「 あァ・・・思ったより早かったね?
早く上がっておいでよ 」
「 俺、ちょっと行ってくる~ 」
電話を切る直前、そう言って
ケイスケは教室から出て行った。
教室に居るのは、私とスナオ、
それからあの3人だけだ。
「 はぁ・・・喧嘩しか頭にない狂犬には
予定を狂わされてばかりだな 」
溜息交じりにそう呟いて
チラリと私を見た彼は
慣れた手つきで携帯を操作し、
再度携帯を耳に押し当てた。
そんな彼をぼんやりと見ていた私の腕を
痛いほど強く掴み、引き上げた彼は
痛みに顔を歪めた私を横目に
「 お前ら、今すぐ上行け。
あァ、俺も行く 」
電話の向こうにそう言って
携帯をポケットにしまった。